容姿や着こなし重視する70%

資生堂が2月に首都圏に在住の20歳から59歳の日本人男性200人と同女性100人に実施したアンケートで、見た目や装いに気を遣うことが大事だと考える人の割合が7割と高かった。

同調査では、有能かどうかは顔に表れると思うか、という問いに対し、過半数が「そう思う」と回答。また、装いを大切にしている男性の多くが自分には自信を持っており、その割合は装いを軽視する男性よりも多かった。

就職活動でむかし筆者はさまざまな企業で働く現役サラリーマンと面接した。マスコミや大手企業の社員は、みんなかっこよかった。一方、筆者が内定した企業はじめ、無名で地味な中小企業で働いているオッサンたちは、筆者から見てかっこいいとは思えなかった。

もちろんかっこいいという基準については異論があろうが、電通とかフジテレビとか大手のマスコミの社員は、モデルのようにかっこいい男女がけっしてめずらしくないのである。

きのうガイアの夜明けという番組で産業再生機構がいかにダメ企業を「再生」するのか、その現場を取材していた。

つぶれそうなダメ会社へ、国から選ばれた超優秀な若者が出向いていくわけである。その「絵」は非常におもしろいものだった。ダメ会社にいる人間は、「装い」ももちろんダメ。酷ながら容姿においてもRCC側に負けていた。

「問題を指摘する、あげつらうことは誰にだって、簡単に出来る」「データベースとかって、作れますよね?」「もっとアグレッシブな数字がほしい」「改革のいちばんの敵は遠慮。会社にぶら下がりたいなどと考えている人には、去ってもらうほかない」こうした台詞を、自分の親とか爺ちゃんくらいの年齢の他人にばんばん言い放つRCCの社員。

怖い……。しかし、かっこいい。筆者がもしダメ社員の側だったら間違いなくこう思う。「そこそこうまくやってきたつもりなのになんでこんな若造に偉そうに言われなきゃならんのだろう。サラリーマンて悲しい。不運な人生だ。そもそも他人(=株主、オーナー一族など)の会社の「再生」のためになんで従業員の自分ががんばらなきゃならんのか?アホくさー。やめやめ」

ところでRCCについてちょっと勉強しておこう。どんなにダメ企業でも、何らかの優位を持つ経営資源はあるはず。それを磨いて伸ばして、何とか企業を再生し延命してやろうというのが、設立した国の狙い。

99年の産業活力再生特別措置法産業再生法、2008年までの時限立法)の枠組みのなかで、預金保険機構が主務大臣(総理大臣、財務大臣経済産業大臣)の許可を得て設立された株式会社、それがRCCである。株は預金保健機構がいつも半分は持っている。

RCCはダメ会社の債権を、金融機関からまず買い取る。そうすることで、ダメ会社の優良資産や人材が生かされ、また金融機関は不良債権がなくなるから一石二鳥なのだ。

RCCは本当にダメ会社はさっさと清算するかも知れない。いずれにしても国の金融システム秩序維持・健全化と、産業の再生のために竹中肝いりで設置された。

もちろん財務省など既得権益を持つ官僚らの横やりなどによって本当に関与すべき巨大ダメ会社はまだまな板に乗っていない。しかしこうした取り組みがうまくいくかどうかが日本経済再生のひとつのカギを握っているのはいうまでもない。

筆者のような、ダメ会社のダメ社員、まずぶら下がることしか考えていなかった従業員は首切られる前に辞めている。会社のためにがんばった人、純粋に会社に滅私奉公してきたおじさんたちがむしろ気の毒な、今日この頃だ。

Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com